チャリで、海岸沿いを疾走していたら、こんなものに出くわした。
漁船が、道路の上を移動している。
10数トンはあろうかという大きな船の引越しだ。
10人余りの漁師さんが、コロをえっさほいさと運んでいる。
コロと云っても、転がるヤツではなく、四角形のただの材木だ。
その上を、ソリを履かせた船を引いて行こうと云うのだ。
バックで引いている。
引き始めが後ろ向きだったから、バックになったのか?
このやり方が、効率がいいのか?
どっちゃでも良かったのか?定かでないが、
船の動きは実に緩慢だ。
遅々としている。
船というヤツは、イルカ同様、
陸に挙がると、極端に運動能力が落ちるらしい。
立ち働く漁師さんにも、心なしか活気がない。
見られてはいけない作業を、
つい見られてしまった様な、顔のそむけ方をしている。
「コレはワシら本来の仕事じゃねえけんな」
(知ってるって)
そう云えば、コレに似たものを、昔見たな。
50年ほど前、大分の豊後高田という街の大きな橋の上を
あるものが移動していた。
そのものとは・・
<日本家屋>
一軒家の建物が、土台ごと地上から浮かされ、
大量の丸太のコロを使って、移動していたのだ。
川向こうから、こっち側へと、
橋を渡っているのだ。
大量の人間と、牛だか馬だかも、動員されていた。
家一軒の重さがどれほどのものか?
見当もつかぬが、瓦も当然そのままだ。
もっと云えば、
移動しながらでも、生活が出来なくもない・・と思われる。
その間、道路や橋はどうなるかって?
そりゃ当然、
通行止めでしょう。
50年前ですよ・・
ずいぶん悠長な時代で、交通量が極端に少なかった。
途中に引っかかりそうな電線を皆、外して通り過ぎた。
大勢の見物客が回りを取り囲み、まるで、祭りのようだった。
そこで問いたい。
こういう場合、家主はやはり、
「
家を引越したよ」と言うのだろうか?