
<釣ったカツオの刺身>
私のダイエット中の食事風景をあなたが見たら、きっと言うだろう。
「なんとまあ、チマチマとした食べ方だこと・・」
『随分、貧相な食べ方ネ』
まあ、ごもっともである。
確かに、チマチマと貧相に見える食べ方をしている。
例えば、目の前の小皿に、カツオのお刺身が乗っているとしよう。
3センチ×5センチ×8ミリのしっかりした一枚だ。
チマチマしていない立派な大人は、この一片をパクリと、
一口で平らげてしまうだろう。
ところが、ダイエット中の私は、
この一片を<
大きな塊>と認識しているのだ。
だから、少なくとも、4分割して食べようとする。
調子が良ければ(何の調子だ?)8分割する。
その一片は、箸で摘むと云うより、爪楊枝で刺すという小片になる。
刺身と表現するには、余りにも、ミミッチイ切り方だ。
飲み屋で、客に出したら、テーブルひっくり返されそうである。
ところが、そのミミッチイ小片を、暫く眺めていると、
涎の量に比例して、小片が、中片ほどに、大きく見えてくる。
ひとつ掴みパクリとやる。
うむ、旨い。
旨さは、
大きさに、さほど左右されていない。
更に、更に、じっくり眼を皿のようにして見つめていると、
中片だったものが、しっかりした大片に見えてくるではないか!
8分割の大きさだった刺身が、元の大きさを取り戻したのである。
つまり、私の中で、
1枚の刺身が
8枚に拡大したのだ。
食べて味わう時間も、当然8倍かかる。
8枚も食べれば、もう大満足である。
かようにして、腹は満たされてゆく。
本人的には、満足しているのだが、
はたから見れば、実に嘆かわしい食べ方だ。
自宅ならいざ知らず、外食でコレをやると、
傍らで見ている人は、目をそむけたくなる。
たった一枚の刺身をブチブチと千切り、
たったひと掬いの豆腐を、チビチビと口に運び、
たった、一切れの肉を、あっちに転がし、こっちに遊ばし、
醤油に漬けたり、カラシにまぶしたり・・
で、さあ、食べるのかと思いきや、
カラシ醤油の付いたハシをペロリと舐めるだけ・・
親は嘆くに違いない。
「こんな
チマチマした食べ方をする子に育てた覚えはない!」
(ええ、その点は、自分で育ちました)

1㎏の肉塊