1 ![]() 旅をしていて、洞窟が地図上に現れると、迷わず向かう。 洞窟のある場所は、わかり易い。 本来、非常に解りにくい場所に存在している為か、 車を走らせていると、案内カンバンが、やたらと現れる。 少しでも不安になった頃を見計らって、 「ほらよ!」 っと、<この先3キロ>のカンバンが立っている。 だから、洞窟に辿り着けないような方は、 その洞窟には入らない方が懸命だ。 洞窟内で迷ってしまうに決まっている。 洞窟を見つけて、入らなかった事はない。 一度もない。 鍾乳洞でなくてもかまわない。 10mほど、凹んでいるだけでも、やはり入ってしまう。 穴があったら入りたい恥かしがり屋なのである。 (うそです) 鍾乳洞のすぐ横に、もうひとつ鍾乳洞がある所などは、 理想郷である。 先日の岩手県にあった、滝観洞(ろうかんどう)の横には、 白蓮洞(びゃくれんどう)がある。 二つあるくせに、白蓮洞の方は、殆どの人が入らない。 入り口に番人もいない。 灯りだけ点けといて、勝ってに入ってくれ・・という形式だ。 誰も入って来ないので独占だ。 ところがところが、この洞窟は私的に評価は高い。 鍾乳石こそ、殆ど無かったが、 内部は広く、迷路のように入り乱れ、何階建てかの 立体構造になっている。 まるで、山賊の棲家を思わせる。 そう云えば、以前、殆ど客のいない鍾乳洞に入った事があった。 山奥にある為、土日以外は、訪れる人が少ないらしい。 入洞して、暫くたち、最深部に達した。 そこには、こんなカンバンが・・ 《この先、立ち入り禁止》 覗いてみると、奥に道は続いている。 最奥部を拡張中なのか、縮小中なのか、定かではないが、 工事中のバーを一本、膝の高さで道に渡してあるだけだ。 超えようと思えば、簡単に超えられる。 私は、超えようと思ってしまうイケナイ人だった。 3mほど、進んでみた。 少しだけ暗くなる。 曲がった道を、もう3m進んでみる。 ふむ、洞窟の本来の姿がここにあるな。 さらに3m、もっと3m、これでどうだ3m・・・ かなり、暗くなった。 3mの○倍は来たなあ~ っと思った次の瞬間。 バシュンッ! 灯りが落ちた。 真っ暗になった! え?ええ?ええええええ~~~? そういう事だったのか! どういう事か・・ この洞窟の照明は、センサーライトだったのだ。 人の動きに反応して、点いている。 誰もいなくなったら、暫くすると、消える仕組みになっている。 観光客が少ないが故の、省エネ作戦だ。 その<暫くすると>の時間を私が作ってしまったのである。 え~~~~! 真っ暗じゃ~ん。 私は、どんな動きをしてココまで来ただろう? 30m位進んだ様な気がする。 クネクネ曲がって、降りてきた気がする。 いや、登った様な気もする。 枝分かれをしたか、しなかったか思い出せない。 足場は悪く、何箇所か大きな深い穴もあった気がする。 あそこに落ちたら、地球の中心まで落ちる様な気がする。 腰を落として、周りの壁を触ろうとする。 ん?手が届かないぞ・・ もっと右かな? いやいや、この辺りに穴がなかったか? 地球の中心で、叫ぶつもりか! あれれ、ちょいと動いただけで、方角が解らなくなっちまった。 どっちの方角から来たのだろう? そもそも、<どっち>という概念がおかしい。 風も感じられない。 一歩踏み出してみる。 登っているのか下っているのか、全く分らない。 新聞の見出しが、頭に浮かんだ。 <100年前の平成の人骨発見!> っと、その時・・ バシュンッ! 灯りが点いた。 慌てて、薄明かりの方角に走る。 バタバタと、立ち入り禁止の場所から飛び出してきた私を 見たアベックが、ヒエ~と悲鳴を揚げた。 皆さん、立ち入り禁止とは、立ち入り禁止なのです。 ![]() ▲
by ishimaru_ken
| 2008-10-06 04:14
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