
サンショウウオを食べたことがあるだろうか?
「それって、天然記念物じゃないんですか?」
いえ、それは、オオサンショウウオです。
サンショウウオは、それほど大きくならない。
せいぜいトカゲかイモリ程度である。
今、わざと、トカゲ、イモリを引き合いに出してみた。
「食べた事があるか?」と云う問いを際立たせる為だ。
実は、そういう私もなかった。
食べようとも思っていなかった。
しかし、地域によっては、サンショウウオが好物扱いされている。
その昔、貴重なタンパク源だったからという理由もあるが、
食べて美味しいという当たり前の理由に支えられている。
丸まま油で揚げたサンショウウオを目の前にかざしてみた。
いわゆる姿揚げという奴だ。
姿揚げは、魚類までに留めた方がいい、との感想が浮かんだ。
ええい、ままよ!
ガブリっ
食らいついた。
あまい・・
何とも言えぬ感触と、カリッとした全体の香ばしさ。
切断した腹部を観察すると、赤っぽい丸いモノがある。
卵だ。
つまりメスをいただいたらしい。
はっと気づくと、3匹目に手を伸ばしていた。
「あんまり、食べると、鼻血が出ますよ」
宿の主に注意された。
その時、廊下を走る、宿の3才の男の子の手に、
同じ姿揚げが握られているのが見えた。
鼻血が出るヨと注意される、サンショウウオを、
幼少の頃から食している。
その後、観察していると、見てただけで、
5本完食したではないか!
「もうやめなさい」
おかみさんに注意されている。
こりゃ、丈夫に育つに違いない。
なんたって、父親は、熊撃ちのマタギだそうだ。

しげしげと眺めるモノではない