1 ![]() 大という文字をくっつけてもおかしくない稀有な記録だ。 4年前の夏、富士五湖の本栖湖において、 ウインドサーフィンのある記録が生まれた。 《本栖湖、ノンストップ、ノー沈、10往復》 50キロの距離を1時間あまりで走り続けた。 意味がわからない方の為に補足すると、 この湖に吹く風は、ガスティと言って、強弱が激しい。 強い風の直後に、風がなくなったりする。 一定の風速で吹いてこない。 ウインドサーファーなら、《本栖湖のガスティ》は有名である。 この湖面を一度も止まらずに、往復するのは、 よほど良い条件が重ならないと無理なのだ。 よもや、3往復や5往復連続など、無理の二乗と言っていい。 したがって、4年前の10往復は、奇跡的に良い条件だったといえる。 そこで、先日、その奇跡的な条件が再びおこった。 朝から、風が吹きすさび、「さあ、挑め!」とばかりにうなっている。 道具はこうだ。 リバティセール72 マイクスラブボード(カスタム63センチ幅) 11時30分に、走りだした。 いきなり、激しいブローにあおられる。 片道2、5キロ 平均速度 時速50キロ 自ら条件を課した。 「5秒以上ストップしたらダメ」 「失敗して水中に落ちたら(チンしたら)ダメ」 「湖の端から端まで往復」 この3条件を満たさないと、その時点で終了。 さて、往復は順調に進む。 6往復を過ぎた頃に、風速がさらにあがってきた。 ブームが乾く。 ブームとは、両手で握っている棒である。 本栖湖は、標高が900mと高所にある。 よって、空気が乾燥している。 そこに強い風が吹き付けているのだから、 本来濡れているブームが乾く。 乾くと、握る力がよけいに必要となる。 そこで、走りながら手を水面に突っ込み、水をすくい、 ブームに振りかける。 ブーム問題はこれを繰り返すことで、済む。 しかし・・・ 異様に喉が渇く。 そりゃそうだ。 乾燥している上に、激しい運動を休みなくしている訳だから、 水分が欲しい。 マラソンに似ている。 今回は、急に思いついて始めたもんだから、 背中に、キャメルバッグなど背負っていない。 湖というふんだんな淡水の上を走っているというのに、水が飲めない。 飲もうとして止まってしまえば、失格である。 そこで、急きょの策。 ブームにかけていた水の水分が残っている指をなめる。 盛んに、手を水面にさらし、指をなめる。 ほんの少ししか水分は摂れないが、気持ち的には、渇えはおさまる。 やがて10往復を越えた。 前回の記録を破った。 さあ、ここからは、自分との闘いである。 記録とは、目標を立ててやるものだ。 マラソンにしろ、短距離走にしろ、目標があり、 到達地点がある。 ところが、私が行っているモノは、到達地点がない。 どこまでやるかは、風次第と、私次第なのだ。 いつやめるかの決定を下すのは、風と私しかいないワケだ。 15往復を越えた頃、風速が一段階強くなった。 これまででさえ、ボードが舞い上がりそうになっていたのに、 厳しさは、上限を知らない。 セールは開きっぱなし。 18往復あたりで、足首の皮膚が痛くなった。 なんだろう? 見ると、あまりの風速とスピードで、しぶきが足首にあたり、 ウエットをめくってしまい、むき出しになっている。 そこに打ち付けるしぶきで足首が、痛い! こんな経験は初めてだった。 すでに、2時間近く、走り続けている。 20往復をクリア! 21往復・・22往復・・ 23往復目に入った時だった。 超のつくブローが前方から襲い掛かってきた。 体力も限界に近付いていた為か、耐えられなかった。 身体は落ちなかったものの、セールを水面に落としてしまった。 万事休す・・・ はい、おしまい。 結果、22往復という記録が残った。 かかったタイム、2時間20分。 距離 100キロ。 さて、ノンストップ、ノー沈、どなたかチャレンジしてみます? ![]() ▲
by ishimaru_ken
| 2017-06-24 05:24
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