
先日、西吾妻山(にしあずまやま)に登っている時だった。
「ガアァ~」
鈍い鳴き声が聞こえる。
カラスに似ている。
カラスは、「カア~」と鳴くが、
こやつは、「ガア~」である。
「ギャア~」に近いかもしれない。
声の主を探して、稜線を移動した。
すると・・・
松の林の中を飛び回っている小ぶりな鳥がいる。
大きさは、鳩よりやや小さい。
色は、全身が白黒のマダラ模様をしている。
「おっアレは・・・?」
《ホシガラス》
漢字だと、星烏。
ハイマツなどの松の実を食べるカラス科の鳥だ。
松の実を食べ、集め、どこかに隠しておく習性がある。
ほかにもどこかに隠す鳥はいるのだが、
たいがいの鳥は、隠した場所を失念するらしく、
それが、森の再生に役立っている。
しかし、ホシガラスは、記憶力が良いらしい。
きっちりと覚えているのだ。
さすが、カラスの仲間である。
とはいえ、あの真っ黒い奴らとは違い、
星と言われるだけあって、見た目は美しい。
鳴き声はなんとかして欲しいのだが、
動きにもキレがあり、カメラの被写体としても望ましい。
そいういえば、以前、剱岳に登っている最中のことだ。
頭上の松の木になにやら鳥が、実をついばんでいるではないか。
私の頭のてっぺんから、2mの距離。
「ホシガラスですヨ!」
山の案内人が教えてくれる。
「長い間ガイドをやってますが、
こんな近くで観られたのは初めてですネ」
滅多にないことだそうだ。
そうっとカメラを取り出し、パシャリッ。
バタバタ
「あっ、いっちゃった・・」
っと思っていたら、すぐに戻ってきた。
近くで、松の実を取ってきたようだ。
どうやらココが、彼の餌場とみえる。
足で実を押さえつけ、嘴でガリガリついばむ。
一つ取り出すと、ついばみ失敗した分がひとつふたつ落下する。
お母さん的には、「口のゆるい子ネ」となる。
ホシガラスは記憶が良く、種をみな食べてしまう。
そのセイで森の再生の役に立たないが、
口がゆるいセイで、おおいに森の役に立っている。
おかあさん、ダメな子ですが、あんまり叱らないでやって下さい。

剱岳のホシガラス