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打率を下げる努力をする打者
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 《打率を下げる努力》

ベースボールの話である。
打者の話である。
打者とは、イチローであり、大谷だ。
彼らは、ただ目の前の打席で、
ヒットを量産しているだけではない。
「打たない努力もしている」

もし、ここに、超能力者がいて、
全打席ヒットを打てるとしよう。
すると、どうなる。
当然、ピッチャーは敬遠、敬遠の連続となる。
打率10割の打者に立ち向かうハズがない。
たとえ、打率3割の打者でも、肝心の場面では、
勝負しない。
よもや打率4割打者に、まともに投げてくれない。

っとすると、その4割打者は、
この苦境をどうやって乗り越えるか?
答は、簡単だ。
「わざと、失敗する」
つまり三振。
つまり、ボンフライ。
失敗を見せつけるのである。
結果、打率が下がる。

大リーグはじめ、日本のプロ野球でも、データ重視、
数字が大手をふってまかり通っている。
その数字を、疑似操作するのである。
失敗したフリをして、打率を下げる。
打率が下がれば、相手ピッチャーは、勝負してくれる。
さすれば、肝心な場面で、ヒットを打てる。

そうだったのだ。
我々は、大谷が凡退する場面で、嘆いている。
しかし、嘆く必要はない。
アレは、わざと打ちそこなっている。
わざと、打率を低くするべく努力をしている。
いつか、ここぞという場面で大きな仕事をする為に、
自らを貶めている。
「私は、打率が低い打者ですヨ~」
「ど真ん中投げても、打てませんヨ~」

いいかえれば、擬態を演じているのである。
そして、哀しさは、擬態を演じている事を、
自らが発表できないことだ。
誰かに、公に喋って貰いたいのだが、
その事すら公表できない。
公表した時点で、策略がバレてしまう。
ああ~かなしい・・
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by ishimaru_ken | 2018-05-25 05:30 | スポーツ
山小屋でのおじさんトーク
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 最近泊まった山小屋での食事中の会話だ。
アラ70のおじさま達が、山の話をしている。

 「女性たち3人組は、よく喋るねぇ~」
 『おお、喋る喋る、急坂でよくあれだけ喋られるねぇ~』
 「ハアハアとかしないんかのぅ~」
 『わしら、はあはあして口もきけんのに』

その割には、標高差1200mを登ってきているオジサンたち。

 「ひとりで登っている女の人は、速えなァ~」
 『速ぇ速ぇ!アッちゅう間に追い抜かれるわい』

そう、私もそう思う。
あっという間に追いつかれ追い越される。
しかも、70リットルのリュックを背負っていたりする。
おそらく20キロの重さがあるだろう。
すごい!

 「わたしはネ、ストックを2本から1本に減らしたんだナ」
 『おれはまだ、2本のままだけんど、なんで減らした?』
 「重いんだヨ、2本だと」

すると、端っこに座っていた元気そうなオジサンが・・

 「わたしはネ、あんなモンは使わない。
  杖を使うようになったら、わたしは山はやめる!」

毅然と言い放った。
かのオジサンは、ストックをと呼び、あんなモンとも呼び、
あくまで、二本の脚で登ると主張している。
杖に頼って登っているから、足がなえるのだと、言っている。
この主張は、ある意味正しく、
主張するだけの気概に満ちている。
その背筋の伸び方に、拍手をおくりたい。

ただし・・
かのオジサンには、将来、杖を使ってでも、
山に登っていただきたい。
杖と言われたが、アレは、
バランスを保ち、
自らの脚力をさらに上げてくれるパフォーマンス向上に、
役立つアイテムなのですヨ。
日本300名山の歩き通しにチャレンジしている、
田中陽希氏だって、ダブルストックで登っている。
むしろ若いひとほど、ストックで登っている。

とはいえ、かのオジサンは、杖は買わないだろうなぁ~
這ってでも、登るんだろうなぁ~
いいなあ、あの背筋の伸び方!
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   お馬鹿の高あがり
by ishimaru_ken | 2018-05-22 05:50 | スポーツ
常念岳へ縦走
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 静かだな・・
山小屋、蝶が岳ヒュッテで目が覚める。
窓の外をのぞく。
真っ白で何も見えない。
なにやら空から降っている。
 「雪だ!」
思わず声をだす。
外に出てみると、30センチの積雪がある。
夜中に雪が降り、まだまだ降り続いている。
5月の第2週だというのに、北アルプスはまだ雪が降る。
30センチ?
っということは、これから向かおうとしている常念岳の稜線は、
雪で覆われているという意味だ。
昨日までの人々が歩いた足跡は消えているという意味だ。
つまり、道は、自分で見つけなければならない
結論をだす。
 「今日は、この蝶が岳ヒュッテにもう一泊しよう」
 『足止めってやつ?』
 「んだ」

この足止めの間に、さらに一日中雪が降り続いた。
翌朝・・
霧の中、三人で歩き出す。
地図とコンパスを頼りに、新雪を踏んでゆく。
目指すは、常念岳2857m。
なんどかアップダウンがあり、真っ白な稜線を進む。
この辺りは、道に迷う心配はない。
問題は、森林の中だ。
方向が定めにくい。
よく探せば、ピンクのリボンが見つかるのだが、
いったんロストすると、随分戻らなければならない。
ええいままよと進むには、森の中は雪が深すぎる。
 ズボッ
足がモモまで、穴に落ちる。
雪を踏み抜いているのである。
 アレ~~!
滝田くんは踏み抜きが得意だ。
右足を踏み抜き、やっと、立ち上がったと思ったら、
すぐさま、左足を踏み抜いている。

 「たぶん、道を間違ってる」
私の言葉に、皆が立ちどまる。
皆を待たせ、ルートファウンディングに取りかかる。
要は、偵察である。
雪に埋もれながら、アッチかいな、ソッチかいな?
地図にコンパスを当て、ドッチかいな・・
やがて、「コッチだぞ~」。
なんとか本道を見つけ、ラッセルをくりかえす。

 「おお、アレは常念岳ではないか!」
晴れた!
運がいい。
頂上を前にして、遥か彼方まで遠望できるほど空がひらけた。
宇宙とまごうばかりの群青色の空。
常念岳は、思いのほか尖っていた。
雪のセイか、尖がった峰に見える。
高所恐怖症の滝田くんの顔が青ざめている。
 『行くのも怖いしぃ、戻るのは、もっと怖い・・』
 「足元見て、一歩一歩登ろう!」
 『うぐっ』
 「東側の崖に近づかなければ大丈夫!」
助言とは思えぬ、私の言葉にだまされ、
高度差400mの新雪に、ザクッとふみだす。
 「滑った時は、黙って滑らず、何か言ってネ」
 『ふぇい』

♪~ゆ~きの進軍、もろでをふってぇ~♪
なぜかこの曲が口をつき、ひぃひぃのハテに、
頂上に立った。
見事なまでに晴れ渡った。
眼の前すぐのところに、
槍ヶ岳が、黒々としたトガリを蒼空に突き立てている。
アッチの方が、300m以上高いハズなのに、
コチラの方が高く感じる。
山は不思議だ。
大概の山は、自分の方が高く感じるのである。

 地球が丸いからだろうか?
 登ってきた喜びからだろうか?
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    蝶槍をめざす
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   ズボッ モモまで雪にはまる 
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   常念岳が見えた 
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   思いのほか尖った岩峰
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    常念への登り  
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      常念岳山頂 向こうに穂高連峰が 
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    400m下の常念小屋を見おろす
by ishimaru_ken | 2018-05-21 05:33 | スポーツ
山頂の天体ショー
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 「この光景はひと月に一回あるかないかですネ」
蝶が岳ヒュッテのご主人がのたまう、
偶然現れた自然現象。

早い夕食も終わり、そろそろ寝る準備を・・
っと、その時、外に出ていた登山客が、駆け込んできた。
 「キリが晴れてきた!」
皆が、カメラ片手に、靴を履いてとびだす。
山小屋の中にいた全員が夕暮れの山頂にでてきた。

先ほどまで視界100mほどの霧だったのだが、
一気に霧が風に舞い始めた。
するとどうなる。
夕陽は、西にかぎりなく傾いている。
西には何がある。
残雪にまみれた穂高連峰と槍ヶ岳の峰々・・・

 「うわあ~~~見えたあああ~!」
みなが、奇声をあげる。
夕焼の紅い空の中に、数々の峰が、浮かび上がる。
一瞬だ。
風と霧の気まぐれ次第で、すべてが現れたり、消えたりする。
まるで映像早回しの大パノラマ映画とでも言おうか。

マイナス3℃。
2677mの蝶が岳山頂で、
いつまでも終わらない天空ショーを眺め続けるのだった。
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by ishimaru_ken | 2018-05-20 05:27 | スポーツ
蝶が岳登山
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 そうだ、蝶が岳から常念岳に縦走してみよう。
これまで、穂高連峰や槍ヶ岳にばかり目が行き、
その前衛である常念岳に登ったことがなかった。
松本市から眺める常念岳のピラミッドの形は勇ましい。

参加したのは、滝田隊員、ヨウコ隊員の3名。
登山口の三股・・まずは、雨が降っている。
心配無用だ。
下界での雨は、山の上は降っていない事が多い。

1900mで、大量の残雪が現れた。
 「ホイ、アイゼン装着!」
急斜面をザクザクと登ってゆく。
傾斜はどんどん急になる。
場所によっては、万が一足を滑らせると、
そのまま、遥か下まで落下する箇所も現れる。
悪いことに、我らが来ているレインウエアは滑る素材だ。
スキーウエアより、よく滑る。
転倒、即、ジェットコースターの気配が濃厚。
 「丁寧に足を運ぶように、決して転倒するなヨ!」
途中の緩斜面で、転倒訓練をする。
止まる練習をする。

 「万が一倒れたら、すぐに腹這いになるんだゾ」
 『へい』

そうこうして小一時間。
斜面はさらにきつくなる。
 「気を緩めるなあ~」
ことばが終わらないうちに・・
ズルッ
後ろの滝田君が、足を滑らせた。
マズイ・・
彼は、我ら隊員の中では、ズリ落ちが得意である。
以前、燕岳の崖でも、ズリ落ちをやった。
その時の経験が生きているのか、うまく体を反転させ、
斜面に正対させた。
 「ヒザをつくと滑るゾ!」
 『へい』
返事だけはいい滝田くん。
いや、返事以上に、身体の動きが良かった。
滑りを止め、ジンワリと身体を持ち上げてくる。
 『はい、戻ってきましたヨ~ン』

危機は脱したのだが、
今度は、私の具合が悪くなった。
なんとなく吐き気がする。
昨日、呑み過ぎ?
いや、違う、高度順化がうまくいっていない。
いわゆる軽い高山病の始まりである。
標高2677mという、さして高山ではないが、
麓から一気に登ると、高度順化がうまくいかない。
私の体質が原因。
理想的には、2000mあたりで一泊した方がよい。

なんやかや、アイゼン効かして、頂上に立った。
そこは、霧に包まれていた。
しかし、そのあと、美しい光景に巡りあう。
頂上山小屋、《蝶が岳ヒュッテ》のご主人が語る。
「この光景は、ひと月に一回あるかないかですネ」

つづく
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   ウサギの足跡
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    蝶が岳山頂
by ishimaru_ken | 2018-05-19 13:17 | スポーツ
山の さもしい食事風景
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 この一か月で、私は、10の山に登っている。
一週間に2峰という登山。
標高差2800mもあれば、300mもある。
11時間、山の中を歩き続けることもあれば、
4時間で戻ってくる場合もある。
いずれにしても、
相当量のカロリーを消費していると思われる。

そんな私が、体重計に乗る。
どれほど痩せているのだろうと、
当然の興味がわく。
4時間歩き回った後の体重計を見てみよう。
「え~とネ・・変わってないナ」
8時間格闘した後の体重計を見てみよう。
「ふむ、増えているナ」

ここで、証人が現れる。
隊員の滝田くん。
「ええ、彼(石丸)はボクの半分しか山中で食ってないですネ」
「半分どころか、ほとんど食事をしてないですネ」

その滝田くんが、山から帰ってきて、同じ体重計に乗ってみる。
滝田くんは、1~2キロ体重が減っている。
イシマルも同じハカリに乗る。
・・体重は増えている。
滝田君の4分の一しか食べていないと、
本人によって厳格に証言されたのに、
なぜか、イシマルの体重は増えている。

もう一回、ふりかえってみよう。
滝田くんは、朝から昼から夕方まで、常に喰い続けている。
おにぎり、パン、ボタモチ、アメ、チョコレート・・
口を常に動かし続ける。
対し、イシマル。
休憩時に、水を飲む。
それだけだ。
時折、差し出されたアメを一つなめる。
買ってきた小さなパンをちょこっと食べる。
滝田くんの4分の一以下の食事風景だ。

いったいどういう事だろうか?
私の身体の中で何が、どう変化しているのだろうか?
試しに、山の中で、彼と同じモノを同じだけ食べてみた。
結果・・
体重がド~ンと増えた。
ばっかみたい・・・
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    食欲旺盛な野生の猿
by ishimaru_ken | 2018-05-16 05:51 | スポーツ
眠ったら死ぬ
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 「眠ったら死ぬゾ!」
コレは、山岳だのの遭難シーンで、吐かれる言葉である。

眠ったら死ぬ。
もちろん、山の中で寝たら死ぬという意味ではない。
遭難状態で、寒さギリギリの、生か死かの瀬戸際の時、
希望を失ったら死ぬという意味で、発する言葉でもある。

通常人間は、眠れば、すべての体調管理を、
身体が、かってにやってくれる。
眠っている時に、ブルブルッ、寒くて起きるのは、
管理がゆき届いている証しだ。
ところが、身体が弱っている時に、
その管理をやってくれるかどうかは疑問だ。
やってくれるかもしれない。
やってくれないかもしれない。
ギリギリの状態では、やってくれない可能性の方が高い。
ゆえに、「眠ったら死ぬ!」と声が掛けられる。
その言葉が定説になっている。

幸いなことに、私は山でその状況になった事がない。
しかし、「眠ったら死ぬ!」の自らの声は、聞いたことがある。
どこでか?

14年前、テレビ番組
 《世界うるるん滞在記》
台湾の東側のイーランの街で、7年に一度の祭りに参加していた。
祭りの名は、

 《チャンクー》

 高さ20mの油を塗った丸太柱を登り、
 ネズミ返しのハングを乗り越え、
 さらに高さ25mの竹で編んだ塔を登る


なんでも、その7年前に、大勢の人が落下して、傷つき、
それ以上の修羅場があった祭りだ。
私が出場した年も、救急車を何台も準備しており、
私が登り始めた時点でそれらは、すべて出払ったあとだった。
つまり、人は落ちた・・当たり前のように。

結果から云うと、油を塗った柱を登り、
ハング越えまで果たしたのであるが・・

夜中の2時に祭りが終わった時から、
私は眠れなくなったのである。
終了後、共に出た仲間と、あおるように朝まで酒を呑んだ。
しかし、それでも眠れない。
興奮で眠れないのは、さておき、私の脳は、
油でまみれた棒を登っているサナカに、さかのぼらされる

ホテルのベッドで眠ろうとすると、
「おい!眠るのか?落ちるゾ!」
自分の声がかかる。
 「落ちたら、死ぬゾ!」
ビクッ
目が覚める。

これはどういうことか?
説明しよう。
私は、まだ、油まみれの20mの木の棒を登っているのである。
登っている最中に、瞬時気を抜くと、落下する祭りだ。
瞬時とは、0コンマ秒の単位の話。
一瞬の気抜きが、救急車の数を減らしてしまう。
ゆえに、気の張りつめ方が、異常なほど鋭敏になってしまった。

自分は、
今登っているのか
すべてが終わったのか
ひょっとしたら、棒の途中で居眠りをしているのではないか
どちらが現実なのかの区別ができない。
できないから、眠れない。
客観的な判断の、判断基準がない。
夢うつつ・・・

台湾から帰国に向かうその後、
48時間を過ぎても、まだ目は見ひらいたまま。
眠さに耐えかねて、コクッと頭がおちると・・
「危ない!しっかりしろ!登っている最中じゃないか!」
叩き起こされる。
さらに、日本への飛行機の座席まできて、
60時間以上たったというのに、
「眠るな、死ぬゾ!」
声は、続いた。
 『お茶いかがですかぁ~』
機上のアテンダントの誘惑まがいの柔らかい声がすればするほど、
騙されてはいけない、と叱責が、耳の中にコダマする。
 「もう、救急車はないゾ!」
 「起きろ、死ぬゾ!」

じゃ、いつ眠りにおちたのか?
機内で、一杯の日本酒をキコシメシタあとに、
ほんわかした日本語が聞こえたアトだった。
 「まもなく、富士山が左手に見えてきます」
カクッ
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by ishimaru_ken | 2018-05-12 05:49 | スポーツ
ウグイスと会話
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 「ホ~ホケキョ」
山の中で、ウグイスが鳴いている。
その横を、歩いている登山者が、クシャミをする。
 『ヘ~ヘクション』
花粉症である。
我らが隊員滝田くんは、花粉症が治らない。
60才越えたら、花粉症は和らぎ、
治ってしまうと聞いたことがある。
彼は、当てはまらないのか、
山道で、クシャミをする。 
 『へ~ヘクション』
ウグイスがこたえる。
 「ホ~ホケキョ」
続けて、滝田くんが
 『へ~ヘクション』
 「ホ~ホケキョ」
だんだん間隔がせまくなる・
 『ヘ~ヘクション』
 「ホ~ホケキョ」
 『ヘ~ヘクション』
 「ホ~ホケキョ」
ウグイスは、明らかに意識している。
意識していない滝田くんを非難している気配すらある。

春の山道の、なんとのどかなことヨ。
そこで一句。
 《ウグイスと会話する山 花粉症
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      喋りだしそうな山
by ishimaru_ken | 2018-05-07 05:33 | スポーツ
丹沢山に登る ②
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~~~昨日の続き~~~

 「自衛隊員・・?」

塔ノ岳の頂上小屋、尊仏山荘の窓から、
夕暮れ時、外を眺めていると、
人影がみっつ、動き回っているのが見えた。
そこは、標高1491mの頂上であり、
春の嵐の烈風にさらされている。
人が歩ける状態ではない。
一人は、背中のザックから、
ビヨ~ンとアンテナが突き出ている。

ガラガラ
外扉が開いた。
3人の迷彩服の若者が、入ってきた。
身体から、モワ~と湯気が立ちのぼっている。
 「失礼します、10分ほど休ませて貰ってよろしいでしょうか?」
丁寧な言葉が発せられた。
 『あ~いぇ、私は・・今、小屋主さんをよんできますネ』

その後、聞かせてもらった話によると、
彼らは、空挺師団の隊員で、3人一組で、訓練中だという。
嵐の中、下から登ってきて、これから丹沢湖まで、
地図をたよりに懐中電灯を点けて、進むのだそうだ。
彼らが、全隊の最後尾で、確認しながらの行動中。
おそらく、明日の朝までの行軍であろう。

頭の先から、リュックまで迷彩がほどこしてある。
 「リュック、持ってみてもいいですか?」
 『どうぞ』
ヨイショ!
30キロ近くあった。
 「手袋も迷彩なんですネ」
 『ええ、だから落としたら見つからないんです、ハハハ』
 「ハハハ」

小屋主のご主人が、これどうぞと、どら焼きをプレゼントした。
すると、お返しとばかりに、携帯非常食を頂いた。
本人たちもガブリと食らいついている。
 「おいしいんですか?」
 『温めて食べればおいしいです』
 「行動中は温められませんよネ」
 『しかたありません』

きっちり10分後に、深いお辞儀をして、
風速30mの強風の中へ出ていった。
爽やかな空気が残った。
皆の口から、おもわず言葉がこぼれた。
 「えらいな」
そして、なぜか、
 「ありがとう」
それは、携帯非常食をいただいたお礼ばかりでは、
なかったような気がする。
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            携帯非常食
by ishimaru_ken | 2018-05-01 06:00 | スポーツ
丹沢山に登る ①
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 さてと、あの山に登ろうかな・・
近いのに、今まで足を向けていなかった山。

 《丹沢山》たんざわさん 1567m

山に造詣がない方は、こう言われるかもしれない。
たんざわ、という言葉はしばしば耳にするけんど、
 たんざわさんと云う名前の山があったの?」
そうなんです、あったんです。
百名山のひとつで、神奈川県の丹沢山系にある。
丹沢山系にあるならば、
その中で一番標高が高いのかと問われれば、
否である。
1673mの蛭が岳(ひるがたけ)に100mほど越されている。
「じゃあ、一番目立つところにあるんですネ」と問われても、
否である。
都内からは、よく見えない。
前の山に隠れてしまっている。
「ほんじゃ、日帰りはできないんだ」
いやいや、出来る。
しかし我々は、山小屋一泊で向かった。

 滝田隊員とヨウコ隊員の3人は、
まず、太平洋側の鍋割山(なべわりやま)に登り、
そのまま縦走して、塔ノ岳(とうのだけ)の山小屋に宿泊。
翌日、丹沢山に登った後、下山という計画だ。
天気は、申し分なし!
と出かけたのだが・・・
登り始めてまもなく、ポツリポツリ。
灰色の空から、しずくが落ちてきた。
風も、ザワザワと樹をゆらす。

やがて稜線に出たとたん、ビュウビュウと激しい風が吹いてきた。
効果音としては、凄まじい限りの烈風に感じる音だ。
「滝田くん、コレ何メートル?」
すると、ウインドサーファーの彼が即答する。
『10mいってない』
以外と大したことない。
音はゴーゴーと凄まじそうだが、木々が出す風音であって、
実際は、さほどの風速はない。

そして、最高点である塔ノ岳の頂上に出た。
ここは、木々がなく、むき出しの広場である。
すると、歩いている私が風にとばされた。
ポ~ンと1mほど横に移動させられる。
 「滝田くん、何メートル?」
 『20m越えてる、瞬間的には25m!』

さすが、ウインドのスピードチャレンジで、
台湾の島において、そのくらいの風に立ち向かっていった経験が、
ものを言っている。

頂上に建っている山小屋、
尊仏山荘(そんぶつさんそう)に、ころげこんだ。
その後、風は、30mほどにも上がった。
陽も暮れ、建物ごと、ギシギシときしみ続けた。
いわゆる、春の嵐である。
っと、その時、建物の外に3人ほどの人間が、
ウロウロしているのが見えた。
迷彩服を着ている。
背中のザックからアンテナが突き出ている・・
なんだ・・?

~~~続く~~~
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by ishimaru_ken | 2018-04-30 05:54 | スポーツ



石丸謙二郎
by ishimaru_ken
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