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そらいろの青
そらいろの青_e0077899_08043282.jpg
 色鉛筆やクレヨンの色の表現に、以前、こんな名前があった。
《ねずみいろ》
《はだいろ》
《そらいろ》

《ねずみいろ》は、灰色のことで、ネズミのくすんだ様子を
表わしていた。
《はだいろ》は、日本人の肌を表現していたのだが、
現在は多様性の人たちを鑑み、使わなくなった。

《そらいろ》は、薄目の青である。
文字通り、空の色だと示している。
日本では昔から、晴れを天気と呼んだり、
空は青いと決めつけている。
ザカザン雨が降っている日でも、空色でソラを描いている。
《晴れ色》とは呼ばなかった。
おそらく願望を、色で表したのだ。
つまり、《そらいろ》とは、
「青く晴れていてくれぇ~」との願いである。

芝桜の花咲く園に多くのひとが集まるのは、
赤系の美しさを愛でている。
対し今はやりの、ネモフィラの園では、青の浮遊感を求めている。
大地からふわっと浮き上がった感覚に、酔いしれる。
浮き上がったあげく、空に近づいているような気すら覚える。
赤が、地面にへばりついているのに対し、
青はソラに手を差し伸べている。

ふわっと浮き上がる感覚を味わえる、ネモフィラの群落は、
「地球は青かった」と語ったロシアの宇宙飛行士ガガーリンの、
見た世界感を、蘇らせてくれる。
そらいろの青_e0077899_08045555.jpg

# by ishimaru_ken | 2025-06-01 05:32 | その他
赤坂と憂鬱
赤坂と憂鬱_e0077899_07505273.jpg
 《鮮やか》 と 《憂鬱》
この二つの文字を読んで、どう思われただろうか?
《あざやか》 と 《ゆううつ》 と書き直してみよう。
この問いは、声に出して読んでもらえれば分かりやすい。
ヒントは、母音である。
もう一度、書き直してみよう。
《ああああ》 と 《うううう》
母音ではこう表わされる。

鮮やかという言葉は、文字通り、明るい表現となる。
母音が《あ》ばかりなので、明るさに拍車がかかっている。
対し、憂鬱とは文字通り、いやになる最低の表現だろう。
ただでさえ、鬱の漢字がよく見えないところにもってきて、
《う》ばかりなので、口が尖って憂鬱さが倍化する。

言葉は、声に出して読むと、母音が鮮明に浮き出てくる。
たとえば、《赤坂》は《あ》ばっかりの町の名前だ。
《赤坂隆正》さんの名前を呼ぶと、気持ちが明るくなりそうだ。
《高山雅也》さんにも、気軽に話しかけたくなる。
和歌山や神奈川や山形にお住まいなら、なお嬉しい。
少々短いが、香川や奈良や佐賀でも嬉しい。
カナダにも手を振っておこう。

では、この文章を声に出して読んでもらいたい。
「古靴結ぶ偶数のルール」
はたして、明るい気持ちになれただろうか?
「うううううううううううううーう」
ゆううつの三倍以上の う に悩まされる。
でも良いこともある。
すくなくとも、舌を噛む心配はありません。
赤坂と憂鬱_e0077899_07505838.jpg
  あざやかな朝

# by ishimaru_ken | 2025-05-31 05:49 | 謙の発見!
墨で書く
墨で書く_e0077899_07101123.jpg
 昨日、《辞表》の文字を書くのが上手と、
まるで言いがかりのような褒め文句で、
私を、ジャックの木に登らせた話をしたのだが、
今度は、看板を書いて下さいとのオファアをいただいた。

それは、病院の看板である。
《○○整形外科》
人生で文字を書くオアファは二度目だ。
最初が《辞表》で、次が、《病院》。
んむ・・・方向性が少々心配になる。
まさか、次に《戒名》となり、最終的には、
《墓碑名》を書いて、となるのだろうか?
それはそれで、書いてみたい気持ちはあるが、
辞表からの流れが、あまりにもスムーズなので、やはり気になる。

てな事を考えながら、オファのあった文字をいきなり書いてみた。
《○○○○整形外科》
横文字の八文字を下書きなしに書いた。
すると・・・真っ白の紙の左から右端まで、見事に、
おさまったのである。
行間も、上下も、端の空間も、きちんと測ったかのように、
おさまった。
試しに、続けて、その八文字を横だけでなく縦にも、
書いた。
大きさの違う紙に、何度書いても、
きちんと測ったかのような八文字が並ぶ。
これは、どういう事だろうか?
自分でも自覚していない、平面寸法把握能力だろうか?

想い出してみると、毎年、正月の二日に書き初めをしている。
60センチほどの長さの習字紙に、いきなり墨を垂らす。
その時思いついた言葉を書き連ねる。
不思議に、上下ピチッと、収まっている。
ひょっとすると、日本人が「日本語を書く」という習い事の中で、
自然と身につけた才能なのではないか?
縦だろうが、横だろうが、空間把握に、
文字書きが役に立っている。
漢字、ひらがな、カタカナをミックスした文字の羅列を、
不思議な感覚で、並べられるのである。

アナタにもコレを書いてみてもらいたい。
《津久井浜整形外科》
墨で書く_e0077899_07120202.jpg

# by ishimaru_ken | 2025-05-30 06:08 | その他
辞表
辞表_e0077899_19525689.jpg
 さっき、過去の写真を振り返って見ていたら、
コレが見つかった。
《辞表》と書かれた封筒。

 ドラマでは、会社の役員や刑事が、辞表をふところに、
忍ばせて、事件に立ち向かうシーンが描かれる。
事件のラストに、その辞表の封筒をビリビリ破くシーンが、
感動的に描かれる。
辞表の封筒は、ドラマの美術さんが、作る。
表に、「辞表」の文字。
撮影のNG(ノーグッド)の回数が分からないので、たくさん作る。
たくさん《辞表》の文字を書かねばならない。
そんな時だった。

「イシマルさん、さっきから何を書いているんですか?」
撮影スタッフが、待ち時間にヒマなものだから、
筆ペンで絵やら文字を書いているイシマルに質問する。
「渡された辞表を見ていたらサ、ちょいと書いてみたんだよ」
「へぇ~この、イシマルさんが辞表と書いた文字、上手ですね」
おだてられてしまった。
「イシマルさん、どうせなら自分で書いてくれませんか?」

この日のロケでは、私が刑事として辞表の封筒を胸に秘めて、
事件に立ち向かうという、よくある設定であった。
「いいよ、書いてみようかな」
てなことになり、ドラマ上の自らの辞表を自ら書いた。
撮影上のNGの心配もあり、たくさんの封筒に書いた。
すると・・・

「うま~~~い!
辞表の文字が上手だと、みんなが褒めるのである。
「いや~これまでドラマで、いろんな辞表の封筒を見てきたけど、
 イシマルさんが書いた辞表が最高!」
ほめちぎる。
「見て見て、この辞表って、いいんじゃない!」
「やっぱ、辞表って、こうじゃなくっちゃネ」
誉め言葉はつづく。
「私たちが書いたのは、封筒の真ん中に書けてないですもん」
「こういう辞表なら、受け取った側も、納得しますよネ」
賛辞の嵐が吹いた。

筆を持った私の目が、宙をさまよっている。
得意げなわたしに追い打ちをかけるかのように、スタッフの声。
「辞表の文字を見事に書ける役者って、かっこいいよネ」
ピノキオのように伸びた私の鼻にさらに、おや指が、
「グゥです!」

ジャックと豆の木のテッペンまで昇りつめた私は、
自分で書いた「辞表」の封筒を破るシーンを、
ラストの撮影カメラに収めたのである。
(そうか、私は書道を習った訳ではないが、
時に、良い文字を書く事ができるのか!)
ジャックの木のテッペンに登ったピノキオは、
その文字を見つめていた。
ん・・・・・・・?
ふと、

(辞表を書くのが上手って、ほめられていいのだろうか?)
辞表_e0077899_19565349.jpg
  ドラマ《ショカツの女》より

# by ishimaru_ken | 2025-05-29 05:51 | 仕事
第三回 奇人達の朗読会

第三回 奇人達の朗読会_e0077899_16282054.jpg
 《奇人達の朗読会》 3回目公演が、
大阪ドルチェホールで催される。
(ホームページに黄色いチラシを載せてある)
過去2回の公演と同じく、いかにも不可思議な朗読会。
おお笑いして帰ったひと。
よく分からず隣りのヒトに聞いているひと。
家に帰ってから、含み笑いを始めたひと。
様々な方の反応があり、第三回目となった。

作・演出は、後藤ひろひと。
共に作品をつくるようになって、25年。
毎回、創り出す発想に、驚かされてばかり。
こんなに長い間、驚かされ通しなのが、むしろ気持ちよくなる。
観客として観てみたいのだが、チラシに名前を載せられるので、
出演がわに回るしかない。

前回も公演したドルチェホールは、客席数も少なく、品のある、
コジンマリとした所。
実は、舞台上にグランドピアノがあるのだが、
見えない仕掛けになっている。
壁に吸い込まれて隠されている。
前回、舞台が始まる前に弾いてみようと試みたのだが、
壁から出てこない。
両手を無理やり壁の中に、差し込んで弾いてみたのだが、
弾いた気がしなかった。
出演者には、ウルサがられるし、せっかくピアノがあるのに弾けないのはくやしい。

さて、たった一回しかしない舞台公演。
いかにも贅沢な催し。
収支決算はマイナスだろうが、気にしていない。
ようは、面白ければいい。
第三回 奇人達の朗読会_e0077899_16231315.jpg

# by ishimaru_ken | 2025-05-28 05:20 | 仕事



石丸謙二郎
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