山小屋でのおじさんトーク
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 最近泊まった山小屋での食事中の会話だ。
アラ70のおじさま達が、山の話をしている。

 「女性たち3人組は、よく喋るねぇ~」
 『おお、喋る喋る、急坂でよくあれだけ喋られるねぇ~』
 「ハアハアとかしないんかのぅ~」
 『わしら、はあはあして口もきけんのに』

その割には、標高差1200mを登ってきているオジサンたち。

 「ひとりで登っている女の人は、速えなァ~」
 『速ぇ速ぇ!アッちゅう間に追い抜かれるわい』

そう、私もそう思う。
あっという間に追いつかれ追い越される。
しかも、70リットルのリュックを背負っていたりする。
おそらく20キロの重さがあるだろう。
すごい!

 「わたしはネ、ストックを2本から1本に減らしたんだナ」
 『おれはまだ、2本のままだけんど、なんで減らした?』
 「重いんだヨ、2本だと」

すると、端っこに座っていた元気そうなオジサンが・・

 「わたしはネ、あんなモンは使わない。
  杖を使うようになったら、わたしは山はやめる!」

毅然と言い放った。
かのオジサンは、ストックをと呼び、あんなモンとも呼び、
あくまで、二本の脚で登ると主張している。
杖に頼って登っているから、足がなえるのだと、言っている。
この主張は、ある意味正しく、
主張するだけの気概に満ちている。
その背筋の伸び方に、拍手をおくりたい。

ただし・・
かのオジサンには、将来、杖を使ってでも、
山に登っていただきたい。
杖と言われたが、アレは、
バランスを保ち、
自らの脚力をさらに上げてくれるパフォーマンス向上に、
役立つアイテムなのですヨ。
日本300名山の歩き通しにチャレンジしている、
田中陽希氏だって、ダブルストックで登っている。
むしろ若いひとほど、ストックで登っている。

とはいえ、かのオジサンは、杖は買わないだろうなぁ~
這ってでも、登るんだろうなぁ~
いいなあ、あの背筋の伸び方!
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   お馬鹿の高あがり
# by ishimaru_ken | 2018-05-22 05:50 | スポーツ
常念岳へ縦走
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 静かだな・・
山小屋、蝶が岳ヒュッテで目が覚める。
窓の外をのぞく。
真っ白で何も見えない。
なにやら空から降っている。
 「雪だ!」
思わず声をだす。
外に出てみると、30センチの積雪がある。
夜中に雪が降り、まだまだ降り続いている。
5月の第2週だというのに、北アルプスはまだ雪が降る。
30センチ?
っということは、これから向かおうとしている常念岳の稜線は、
雪で覆われているという意味だ。
昨日までの人々が歩いた足跡は消えているという意味だ。
つまり、道は、自分で見つけなければならない
結論をだす。
 「今日は、この蝶が岳ヒュッテにもう一泊しよう」
 『足止めってやつ?』
 「んだ」

この足止めの間に、さらに一日中雪が降り続いた。
翌朝・・
霧の中、三人で歩き出す。
地図とコンパスを頼りに、新雪を踏んでゆく。
目指すは、常念岳2857m。
なんどかアップダウンがあり、真っ白な稜線を進む。
この辺りは、道に迷う心配はない。
問題は、森林の中だ。
方向が定めにくい。
よく探せば、ピンクのリボンが見つかるのだが、
いったんロストすると、随分戻らなければならない。
ええいままよと進むには、森の中は雪が深すぎる。
 ズボッ
足がモモまで、穴に落ちる。
雪を踏み抜いているのである。
 アレ~~!
滝田くんは踏み抜きが得意だ。
右足を踏み抜き、やっと、立ち上がったと思ったら、
すぐさま、左足を踏み抜いている。

 「たぶん、道を間違ってる」
私の言葉に、皆が立ちどまる。
皆を待たせ、ルートファウンディングに取りかかる。
要は、偵察である。
雪に埋もれながら、アッチかいな、ソッチかいな?
地図にコンパスを当て、ドッチかいな・・
やがて、「コッチだぞ~」。
なんとか本道を見つけ、ラッセルをくりかえす。

 「おお、アレは常念岳ではないか!」
晴れた!
運がいい。
頂上を前にして、遥か彼方まで遠望できるほど空がひらけた。
宇宙とまごうばかりの群青色の空。
常念岳は、思いのほか尖っていた。
雪のセイか、尖がった峰に見える。
高所恐怖症の滝田くんの顔が青ざめている。
 『行くのも怖いしぃ、戻るのは、もっと怖い・・』
 「足元見て、一歩一歩登ろう!」
 『うぐっ』
 「東側の崖に近づかなければ大丈夫!」
助言とは思えぬ、私の言葉にだまされ、
高度差400mの新雪に、ザクッとふみだす。
 「滑った時は、黙って滑らず、何か言ってネ」
 『ふぇい』

♪~ゆ~きの進軍、もろでをふってぇ~♪
なぜかこの曲が口をつき、ひぃひぃのハテに、
頂上に立った。
見事なまでに晴れ渡った。
眼の前すぐのところに、
槍ヶ岳が、黒々としたトガリを蒼空に突き立てている。
アッチの方が、300m以上高いハズなのに、
コチラの方が高く感じる。
山は不思議だ。
大概の山は、自分の方が高く感じるのである。

 地球が丸いからだろうか?
 登ってきた喜びからだろうか?
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    蝶槍をめざす
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   ズボッ モモまで雪にはまる 
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   常念岳が見えた 
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   思いのほか尖った岩峰
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    常念への登り  
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      常念岳山頂 向こうに穂高連峰が 
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    400m下の常念小屋を見おろす
# by ishimaru_ken | 2018-05-21 05:33 | スポーツ
山頂の天体ショー
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 「この光景はひと月に一回あるかないかですネ」
蝶が岳ヒュッテのご主人がのたまう、
偶然現れた自然現象。

早い夕食も終わり、そろそろ寝る準備を・・
っと、その時、外に出ていた登山客が、駆け込んできた。
 「キリが晴れてきた!」
皆が、カメラ片手に、靴を履いてとびだす。
山小屋の中にいた全員が夕暮れの山頂にでてきた。

先ほどまで視界100mほどの霧だったのだが、
一気に霧が風に舞い始めた。
するとどうなる。
夕陽は、西にかぎりなく傾いている。
西には何がある。
残雪にまみれた穂高連峰と槍ヶ岳の峰々・・・

 「うわあ~~~見えたあああ~!」
みなが、奇声をあげる。
夕焼の紅い空の中に、数々の峰が、浮かび上がる。
一瞬だ。
風と霧の気まぐれ次第で、すべてが現れたり、消えたりする。
まるで映像早回しの大パノラマ映画とでも言おうか。

マイナス3℃。
2677mの蝶が岳山頂で、
いつまでも終わらない天空ショーを眺め続けるのだった。
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# by ishimaru_ken | 2018-05-20 05:27 | スポーツ
蝶が岳登山
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 そうだ、蝶が岳から常念岳に縦走してみよう。
これまで、穂高連峰や槍ヶ岳にばかり目が行き、
その前衛である常念岳に登ったことがなかった。
松本市から眺める常念岳のピラミッドの形は勇ましい。

参加したのは、滝田隊員、ヨウコ隊員の3名。
登山口の三股・・まずは、雨が降っている。
心配無用だ。
下界での雨は、山の上は降っていない事が多い。

1900mで、大量の残雪が現れた。
 「ホイ、アイゼン装着!」
急斜面をザクザクと登ってゆく。
傾斜はどんどん急になる。
場所によっては、万が一足を滑らせると、
そのまま、遥か下まで落下する箇所も現れる。
悪いことに、我らが来ているレインウエアは滑る素材だ。
スキーウエアより、よく滑る。
転倒、即、ジェットコースターの気配が濃厚。
 「丁寧に足を運ぶように、決して転倒するなヨ!」
途中の緩斜面で、転倒訓練をする。
止まる練習をする。

 「万が一倒れたら、すぐに腹這いになるんだゾ」
 『へい』

そうこうして小一時間。
斜面はさらにきつくなる。
 「気を緩めるなあ~」
ことばが終わらないうちに・・
ズルッ
後ろの滝田君が、足を滑らせた。
マズイ・・
彼は、我ら隊員の中では、ズリ落ちが得意である。
以前、燕岳の崖でも、ズリ落ちをやった。
その時の経験が生きているのか、うまく体を反転させ、
斜面に正対させた。
 「ヒザをつくと滑るゾ!」
 『へい』
返事だけはいい滝田くん。
いや、返事以上に、身体の動きが良かった。
滑りを止め、ジンワリと身体を持ち上げてくる。
 『はい、戻ってきましたヨ~ン』

危機は脱したのだが、
今度は、私の具合が悪くなった。
なんとなく吐き気がする。
昨日、呑み過ぎ?
いや、違う、高度順化がうまくいっていない。
いわゆる軽い高山病の始まりである。
標高2677mという、さして高山ではないが、
麓から一気に登ると、高度順化がうまくいかない。
私の体質が原因。
理想的には、2000mあたりで一泊した方がよい。

なんやかや、アイゼン効かして、頂上に立った。
そこは、霧に包まれていた。
しかし、そのあと、美しい光景に巡りあう。
頂上山小屋、《蝶が岳ヒュッテ》のご主人が語る。
「この光景は、ひと月に一回あるかないかですネ」

つづく
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   ウサギの足跡
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    蝶が岳山頂
# by ishimaru_ken | 2018-05-19 13:17 | スポーツ
男優と女優
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 《同性にからい》

芝居の話をしてみよう。
役者は、芝居の役者を観ている。
その時、男である私は、男の役者にからい

どういうことか?
男役者は、どうあらがっても、男を演じている。
男の生きざまを見せつけている。
男を見せる限りは、男をきちんと演じて貰わなくてはならない。
ところが・・
 「ヘタクソだな」
時折、感ずる。
芝居がヘタクソなのではなく、男の芝居としてヘタクソなのだ。

ある時、気のおけない女優に訊いてみた。
 「女優から見て、他の女優はどうみえる?」
返った言葉は、
 『点数は、からいわネ』
我らと同じく、同性にからいと云うのである。
ほんじゃ、男優には、どう点数をつけるか訊いた。
 『まあ、あんまり気にならないわネ』
上手かろうが、ヘタかろうが、さして気にならないそうだ。

もういちどひっくり返して、男優にも訊いてみた。
 『からい観方をするナ』
 『つい、芝居を指摘したくなるネ』

なるほど、男優も女優も、同性にからい。
つまり、同性の些細な部分まで見えてくるのだと思われる。
なんたって、些細な部分に異常なほどの関心をよせ、
表現しようとする人たちだ。
からいのは当たり前かもしれない。
つまり、俳優にしても、
やはり異性は、わかりにくい相手なのである。
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# by ishimaru_ken | 2018-05-18 06:05 | 仕事
メバル釣り
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 メバルとの相性はいい。
これまで、テレビの釣り番組で、
メバル釣りに、2回出させてもらったのだが、
どちらも、思いのほかを乗り越えて、
わんさかと大きなメバルが釣れ上がった。
特に、瀬戸内海の瀬戸大橋の下で釣り上げた一荷(いっか)は、
29センチクラスが、鯉のぼりのように舞い上がった。
「いっか」とは、
一度の竿揚げに、二匹以上釣れ上がる意味である。

そして先日、東京湾に繰り出した折にも、「いっか」をやった。
どうやら、メバルに好かれている。
眼がギョロリとしているところに親近感が湧くのかもしれない。
メバルは、煮つけにすると旨い魚であるのは、知っている。
アレは旨いだけでなく、骨から身が離れやすいので、
食べやすさも加算されて、
それが「旨い」に繋がっていると思われる。

当然、釣れあげたその夜、刺し身もさることながら、
煮つけを造った。
汁の中で黄金色にギラギラと輝くその身は、
箸でつまむと、見事なまでの身離れを演じてみせてくれる。
4~5回も箸の上下をすれば、残ったのは骨だけになる。
子供に、魚の骨の絵を描いてごらんと言えば、
「こんな絵をかくだろう」
と言わんばかりの骨の残骸が皿に残る。
生前の姿を知っているからこそ、いとおしい骨となる。
その残った骨にお湯を注ぎ、一杯の珠玉のスープとなる。

メバルさん、アナタの身は、私の身となり骨となり、
いつか再び、アナタにまみえるべく、船上の人となるでしょう。
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       メバル刺し身
# by ishimaru_ken | 2018-05-17 05:59 | 仕事
山の さもしい食事風景
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 この一か月で、私は、10の山に登っている。
一週間に2峰という登山。
標高差2800mもあれば、300mもある。
11時間、山の中を歩き続けることもあれば、
4時間で戻ってくる場合もある。
いずれにしても、
相当量のカロリーを消費していると思われる。

そんな私が、体重計に乗る。
どれほど痩せているのだろうと、
当然の興味がわく。
4時間歩き回った後の体重計を見てみよう。
「え~とネ・・変わってないナ」
8時間格闘した後の体重計を見てみよう。
「ふむ、増えているナ」

ここで、証人が現れる。
隊員の滝田くん。
「ええ、彼(石丸)はボクの半分しか山中で食ってないですネ」
「半分どころか、ほとんど食事をしてないですネ」

その滝田くんが、山から帰ってきて、同じ体重計に乗ってみる。
滝田くんは、1~2キロ体重が減っている。
イシマルも同じハカリに乗る。
・・体重は増えている。
滝田君の4分の一しか食べていないと、
本人によって厳格に証言されたのに、
なぜか、イシマルの体重は増えている。

もう一回、ふりかえってみよう。
滝田くんは、朝から昼から夕方まで、常に喰い続けている。
おにぎり、パン、ボタモチ、アメ、チョコレート・・
口を常に動かし続ける。
対し、イシマル。
休憩時に、水を飲む。
それだけだ。
時折、差し出されたアメを一つなめる。
買ってきた小さなパンをちょこっと食べる。
滝田くんの4分の一以下の食事風景だ。

いったいどういう事だろうか?
私の身体の中で何が、どう変化しているのだろうか?
試しに、山の中で、彼と同じモノを同じだけ食べてみた。
結果・・
体重がド~ンと増えた。
ばっかみたい・・・
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    食欲旺盛な野生の猿
# by ishimaru_ken | 2018-05-16 05:51 | スポーツ



石丸謙二郎
by ishimaru_ken
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