引越し⑥
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大分県は別府市に、伊藤博文が泊まったという料亭旅館があった。

中学2年の時の家が、そこだった。
とにかく広かった。
余りに広いので、三家族で住んでいた。
なのに、他の家族と一ヶ月に一回くらいしか出くわさなかった。

夏休みのある日。
池がきたない!洗おう!父親が言い出した。
恐らく、200年以上経っているお屋敷だ。
建ってからこれまで、池なんか洗った事はないだろう。
なにしろ、大きな池だ。

栓は見つかった。
抜いた。
水が抜けるのに、一週間かかった。
この頃になって、慌てだした。
錦鯉が100匹くらいいるのは分かっていた。
だが、良く見ると、黒い鯉、
つまり真鯉がその10倍位いるのだ。
父親が、馬鹿でかいバケツを大量に借りてきた。
ボンボン放り込む。
それからというもの、このバケツに水を注ぐのが
仕事になった。
池を洗う。200年以上分の泥が流れていく。
(これは、いい泥なんじゃないかなあ)
『おー綺麗になったあー!』
父親だけは、喜んでいる。

食おう!父親が、立ち上がった。
真鯉を食おうというのである。
そうか!ここは元々料理旅館だった。
厨房を探してみると、直径1メートルくらいの
馬鹿でかい中華鍋が出てきた。
ひとつの中華鍋で、バケツから掬って来た鯉を唐揚げにする。
もうひとつの鍋に、中華のアンを作っておく。
さすれば、中華の鯉の餡かけが出来るのだ。
50センチくらいある鯉を唐揚にするのだ。

この日から、毎食、一人一匹、鯉を食べ始めた。
5人家族で、一食に5匹。
朝昼晩の3食、一日で15匹。
池に水が溜まるまでの一週間、食べ続けた。
最大で、70センチの鯉を揚げた時は、30分くらいかかった。

飽きた!二度と、鯉は食わん!父親は始めるのも唐突だが、やめるのも、唐突だ。
満水式には、友達も呼び、鯉と共におおいに
泳いだのだった。
# by ishimaru_ken | 2006-08-22 07:35 | 昔々おバカな話
引越し ⑤
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~昨日の続き~
大分県は竹田市にある武家屋敷。
風呂が外にあった。外というのは、間違いで、
正しくは、風呂のための建物があったのだ。
脱衣場の部屋があり、浴室がある。
風呂釜は、五右衛門風呂だ。
真ん中に、丸い木の板を浮かべて、
それにバランスをとりながら浸かると、
自然、下に沈んでいく。
まわりの鉄の部分に肌が触れると
「アッチッチッ!」
子供なら二人は、ゆうに入れた。

『お湯加減どうだい?』
外に、焚口がある。
燃料は、マキだ。
みなさん、マキで風呂を沸した事がありますか?
無い方、どうか気をつけて下さい。
こんな目にあわない様に・・・

ある日の事、両親が用事で出かけるという。
留守番はけんじろう、よろしくね・・という事になった。
お風呂沸しといてね・・という事になった。
子供は、焚き火は大好きである。
マキを燃やすのも大好きである。
小学6年のけんじろう君、早く風呂を沸したかった。
火をつけたかった。

てなこって、昼過ぎには、風呂の焚口に座り込んだ。
新聞を丸めて、マッチを擦る。
小ワリから燃やしていく。だんだん火が大きくなる。
風のとおり道を作ってやる。
火が燃えるのを見るのは、面白い。
夢中になる
どんどんマキを放り込む・・・

・・日が暮れた頃、両親が戻ってきた。
家の中が暗い。
お風呂の建物に行って見ると、
けんじろうが焚口に座り込んでいる。
顔が、大ぶりのスイカほどに、腫れ上がっている。
すぐに、火のそばからひっぺがす。
風呂場の中から、シュンシュン音がする。
父親が入ってみると、五右衛門ガマの水がほとんど
無くなり、最後の水がはじけている。
そういえば、焚口の横に積んであった
一ヶ月分のマキが消えている
けんじろうがクベタのだ。
けんじろうが燃やしたのだ。
一ヶ月分炊いたのだ。

その夜、大熱を出して、石丸家の次男坊は寝込んでしまった。
きっと、両親は嘆き悲しんだに違いない。
お兄ちゃんは、あんなに立派なのに・・
# by ishimaru_ken | 2006-08-21 08:52 | 昔々おバカな話
引越し ④
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~昨日の続き~
この竹田の武家屋敷は古かった。
そして、発見した!
けんじろう君の部屋に、隠し部屋があったのだ。
敵に襲われた時に隠れる為のものらしい。
なんと、天井にあるのだ。
天井からぶら下がった紐を引っ張ると、
ギィーと音を発てて、真っ黒い階段が現われる。
上から降りてくる。
そっと、登っていく。
広さは4畳半だが、高さは、座ってれば頭は付かないくらい。
明かりは当然ない。
小学6年生のカッコウの遊び場になった。

廊下がきたない!』
突然、父親が言い出した。
そりゃそうだろう、古い屋敷だもの、木が真っ黒になっている。
それを、きたないと呼んでいいのだろうか。
磨こう!
父親は、迷いのない人だった。
家族5人がタワシを持ち、廊下のハシからゴシゴシやり始めた。
半日やった。
1メートルほど、白っぽくなった。
白っぽくはなったけど、綺麗になったとは思えない。
やめよう!
父親は引き際も、迷いのない人だった。

庭に野菜を作ろう!
又、父親が言い出した。
庭って言ったって、普通の庭じゃない。
築山があったり、池があったり、ご立派な庭である。
何百年か経った庭園である。
そこを掘り返し始めた。
シベリア抑留から命からがら帰還した、父親にとって
野菜を植えていない地面が許せないらしい。
男手3人、一日で、畑を作ってしまった。
そこに、ナス、きゅうり、トマト、おくら etr
土地が肥えていた分、いくらでも実がなった。

廊下がきたない!
え~!だからもうやめようよ~
よしこうしよう・・と父親はツルツルのベニヤ板を
買ってきて、張り巡らした。
おまけに、けんじろう君の部屋にも、張り巡らした。
今風にいうとリフォームである。

戦争から帰ってきて間もなかったからなのか、
<文化財>的な考えを知らない、父親であった。
そして、あまりにもベニヤがツルツル過ぎて、
年中、家族の誰かがころんでいた。

壁がきたない!
やめようよお~!
# by ishimaru_ken | 2006-08-20 12:11 | 昔々おバカな話
引越し ③
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『♪~春こうろお~のー花の宴~♪』

滝廉太郎作曲の<荒城の月>である。
この荒城とは、大分県の竹田市という所にある。
その町に由緒正しい、武家屋敷の町並みがある。
その中の一軒が、イシマル家の住まいだった。
けんじろう君小学6年の事である。

門があった。立派だった。立派過ぎて、普段開けてなかった。
横に小さな扉がついていた。
さて、来客がその扉をくぐると、石畳の坂道を下っていく。
やっと、玄関だ。
玄関といっても、横幅、5・6メートルはあろうか。
何といっても、本物の武家屋敷だ。
遠山の金さんが『桜吹雪があ~』といって、足をドンと出す
アレだと思っていただけたらいい。

(え~とブザーは無いのかな?)
客は探しても見つからない。
横の柱に、大きな釣鐘がぶら下がっている。
下に、木槌が掛けてある。
そうなのだ。
余りにも、家が広いので、ブザーなんか鳴らしても
聞こえないのだ。
客が釣鐘を打つ!
カアアアア~~~~ン!

その音を台所で聞いた母親が、まずは廊下を走り、
障子やふすまを開けたり閉めたり、シメタリアケタリ
イヤに成る程、繰り返してやっと、遠山の金さん
登場となるのだ。

掃除が大変! 部屋が多過ぎるので、
何室も鍵を掛けて、開かずの間にしていた。
又、この屋敷にがあった。
その中の物を県が、博物館に持っていった事があった。
しかし、県は屋敷の内部は見なかった。
実は両親の寝室には、本物の槍が、欄干の上に、
数本架かっていたのだ。
自称剣道五段の父親が、時々、振り回していた。
「シャシン、トッテもイデスカ?」
外国人の観光客がその姿を写している。

庭も広く立派だった。
池には、太鼓橋も架かっていた。
3歳下の妹がいるのだが、このお屋敷が
妹のクラスの遠足場所になった事があった。
つまり、妹は、朝お弁当を持って、学校まで行き
遠足で、我が家に帰り、遠足の帰りに学校に行き、
再び、我が家に帰ってくる・・という。
何ともややこしい遠足の2倍をやっていたのだ。

この家はとても一日では語れないので、又明日・・バイバイ
(そういえば、一昨日18歳までに住んだ家の数が23と書いたが、あと2つ思い出した・・ので、25
# by ishimaru_ken | 2006-08-19 05:17 | 昔々おバカな話
引越し ②
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幼稚園の頃、大分県の杵築(きつき)市に住んでいた。

今、杵築に行くと、丘の上の武家屋敷がある一帯が
観光地になっている。
その中の一軒の武家屋敷が300円払って内部を
拝観させている。
確か、<大原邸>といったかな。

そこに住んでいたのだ。
門があり、門番のご夫婦が住まわれていた。
武士の住まいらしく、相当の広さと間取りで
母親の掃除が大変だった。

ある日、幼稚園に通うけんじろう君が、検便を
紛失した事があった。
こんな小さな頃から落し物、忘れ物をする駄目な子だった。
母親は、せっかんのつもりで、納戸に閉じ込めた。
今時の家ではない。
何百年前の武家屋敷の納戸だ。
真っ暗である。
鎧兜や、鬼の面なんかが雑然と置かれてある。
ビービー泣いた。いつまでも泣き止まなかった。
駄目な子だったけど、体力だけはあったようだ。
泣き声を聞きつけてきた、門番ご夫婦の懸命の説得で
検便けんじろう君は、日の目を見る事になった。

その後も、いろんな落し物をし続けた。
様々なモノの、忘れ物をし続けた。
忘れた事さえ忘れている、忘れ物が増えた。
その度に叱られ、せっかんされたが、直らなかった。
ビービー泣くだけだった。
親にとっては、がっかりの子供である。

その屋敷は丘のてっぺんに建っているので、見晴らしがいい。
遥か遠くまで見渡せる。
小さいながらも、泣き虫けんじろう君は、涙を拭き拭き
いつも、だだっ広い庭の端から、夕焼けを見つめていた。
# by ishimaru_ken | 2006-08-18 07:10 | 昔々おバカな話
引越し ①
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引越した事がありますか?
わたくし、イシマル、引越だらけの少年時代だったのだ。
原因は、父親の職業が<銀行員>であった事。
銀行員は
不正を働かないように、毎年転勤をさせられる。
ん~まあ、そこまではいいでしょう。
ところが、イシマルの父親というのが、妙な人でね。
転勤するたびに、その町にあるたいそうなお屋敷を借りてくる。
 <武家屋敷>
 <古い料亭>
 <旅館>
などなどを、借りてくるのである。
社宅として借りてくるのである。
コレが又、貸してくれる大家も嬉しいそうなのだ。
家は、人が住まなければ、崩壊するモノなのでね。
その点に着眼した父親もえらい
~~~ ~~~
まず、この話をする前に、謝らなければ・・
☆ この話は長くなります。
☆ 何篇にも分かれると思います。
☆ いろんな人に話した事があるけど、ウソツキと言われた。
  ほら吹きと言われた。

これを読んだあなたが、イシマルの事をほら吹き
思わない事を祈って、明日あたりから、少しづつ披露を・・

・・ああ、最初に言っておきましょう。
記憶がある4歳から、18歳までの間に住んだ家が
27> あります。
幼稚園を 4つ行っています。
小学校を 4つ行っています。
中学校を 3つ行っています。
高校は 無理やり、ひとつにしました。

ついでに、いっときます。
今現在、住んだ家の数は、<35

ホラ! 今、イシマルのほら吹きって言ったでしょ。
# by ishimaru_ken | 2006-08-17 05:27 | 昔々おバカな話
ハンモック
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ハンモッ

いい響きだ・・
ハンモックと聞いただけで、いろんな想像が膨らむ。
~ハンモック~
南の島だ。椰子の木だ。
椰子の木と椰子の木をハンモックで繋ぐ。
さわやかな風が、ここちいい日陰だ。
ハンモックに寝転び、本を読む・・
いつしか、ウトウトのまどろみの中、昼寝に引き込まれる。

《よお~し、ハンモックを買おう!》
といって、ハンモックを買ったとしよう。
木と木に繋ぐ。ここまではいい。
さあ、乗ってみよう。
コレが、難しい。
ひょいと気軽に乗ろうもんなら、クルリとひっくり返ってしまう。
ドスン!
では、そお~と乗ったとしましょう。
(あれ?ちょっと横向いてしまったな)
と思って、真上に向けて修正しようとするのだが、
編みの目が引っかかって、なかなか上に向けない。

では、なんとか真上を向いたとしましょう。
(身体が曲がってるな)
ハンモックは網であるからして、当然たわむ
尻のあたりが最も沈む。
肩も両方の網で圧迫されて、窮屈だ。
文庫本を持ってみると、腕が縮こまっている。
満員電車で、本を読んでいる様に似ている。

しょうがない、眠ろう。
身体の格好が不自由だ。
これが網ではなく、ただの袋だったら、
捕まえられた小動物と同じだな。
寝返りがうてない。
さらに、しばしば勘違いされる事だが、

ハンモックは揺れない
揺れているハンモックを見た覚えがある方。
それは、誰かが揺すったか、乗った直後かでしょう。
自力では、揺れません。
『え~でも、テレビのCMでは、揺れてるよお~』
だからあ、誰かが揺すったのですよ。
イメージですよ、イメージ・・

まあ、仮に、ほどなく眠ってしまったとしましょう。
目が覚めました。
さあ、最後の難関、

降りなければなりませんぞ。
# by ishimaru_ken | 2006-08-16 10:03 | その他



石丸謙二郎
by ishimaru_ken
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